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2010年02月03日

つながり

日記 2010

どこで聞いたのか忘れたんだけど、
「その人が死んでしまったとしても、その人の記憶を、今生きている誰かが忘れない限り、その人はまだ 『生きて』 いるということである。」
と唱えてる人がいた。

確かにそうだよな。

・ ・ ・ ・ ・

ボクの婆さんは、産婦人科の給食係を仕事にしていた。
いつも元気で、せっかちで、おっちょこちょいで、O型を絵に描いたようにデタラメだけど、愛嬌のある人だった。ボクは、婆ちゃんの働いていたその病院で2月2日のお昼ちょっと前に生まれた (と婆ちゃんから何度も聞いた)。

特に 「お婆ちゃんっ子」 というわけでもなかったのだけど、母方の一家の初孫として、ボクはとても可愛がられたなあと思う。

群馬の爺さん婆さんの家に泊まりに行くと、翌朝6時には婆ちゃんが枕元でささやく。
「ヒロちゃんは今日は何が食べたいん?」
必ず答えるのは 「ウィンナー」 だった。
またウトウトして、暖かい布団の海の中にのみこまれていく。次に目が覚めて起き出すと、必ず食卓には赤いウィンナーが並んでいた。絵を描くのが好きだったボクのために、鏡台の下の引き出しに、ウラが白紙のチラシをとっておいてくれたのも婆ちゃんだった。

そんな婆ちゃんは遠くに住んでいたんだけど、中学1年の夏、我が家に遊びに来た翌朝亡くなった。眠っている爺ちゃんの隣で、いつのまにか息をひきとっていた。爺ちゃんの悲鳴でみんなが飛び起きて、ボクの父親が医者を呼んできた。懐中電灯で目の奥を覗いてる医者の横で、冷たくなった婆ちゃんの姿を、正座をして眺めていた爺ちゃんは、夏なのにブルブルと震えていたことを今でも覚えている。

・ ・ ・ ・ ・

先月末の暖かい日の朝、ボクの妹に男の子が生まれた。
2時間後、妹から 「甥っ子」 の写真がケータイへ届く。
「やっぱり自分の子供はカワイイよ」
子供産んで2時間後の母親が呟く言葉か、それって? 
妹はあいかわらず冷静な女である。
しかし……これでオレも正真正銘の 「おじちゃん」 になったわけである。

その日、お客からの電話の合間に、父親の携帯から電話。
「生まれたよー」
言葉は少ないけど、相当喜んでるのが分かる。

中学校まではよかったのに、高校に入って崖を転がるように落ちこぼれた息子が、やっと大学に合格した日、父親はめずらしく仕事から早く帰ってきて、「よかったなー」 といいながらビールをうまそうに飲んだ。
おそらく、20年前の、あの時以来の喜びだということが電話越しにも分かった。

・ ・ ・ ・ ・

その後数日、毎日届く甥っ子の写真。
「爺さんは息子にメロメロだよ」
と添えられている妹からのメールの文面に 「本当か?」 と思う。
およそ、『家庭』 というコトバが似合わない仕事人間だった父親が、いつのまにそうなったのか?
定年して約10年。最近は料理もするというから、ボクが父親を見ていない、ということでもあるんだが……。

・ ・ ・ ・ ・

それを確かめたい思いもあって、この週末、実家に帰った。
甥っ子とのご対面。

ボクが帰ると、母親と妹は餃子鍋のための餃子を作っていた。
「どこにいるんだよ?」
「居間で寝てるよ」
と、あいかわらずクールな妹。

居間に置いてある、小さなカゴの中で、甥っ子はスヤスヤ眠っていた。

「ち、ちっちぇー」

というのが最初の印象。
生まれたばかりの子供というのは、こんなにも小さいのか。。
ヒロシおじちゃんとの初の対面をしても、甥っ子は泣かなかった。意外と印象がよかったのかもしれない。

「この子 『ウンコたれ』 でさあ」

と言いながら、餃子鍋の隣で不慣れな手つきで妹がおしめを変える。
小さいけど、立派なチン○もついている。
甥っ子、姪っ子はカワイイというが、なんだかリアリティが湧いてきた。

驚いたのは父親。
「とーもくん、とーもくん」 (甥っ子は 「友哉」 と命名された) といって、
隙あれば甥っ子を抱っこし、その手を話さない。
ボクからすれば、ちょっと異様な光景でもある。
はやく孫が欲しかったんだなぁという、複雑な気持ちにもなったけど、嬉しそうな父親の顔は、
ボクもやはり嬉しかった。
妹よ、あんたはエラいよ!

・ ・ ・ ・ ・

27年前、婆ちゃんが亡くなったこの部屋で、
娘だった母が 「お祖母ちゃん」 になり、妹が母になり、妹の息子が育っていく。
きっと数年後、母は眠っている甥っ子に聞くだろう。
「トモ君、朝ごはんは何が食べたいんだい?」

その夜、居間に布団を敷いて眠ったら、婆ちゃんの夢を見た (気がした)。
お墓参りいかないとな。

コメント (2)

のんち:

オメデトーやカワイ~の本当の意味がわかった実感。
その実感のこもった文章に、不覚にも朝から職場の机でウルッときたよ!

おめでとう!さぞ可愛いことでしょう!

もうひとつ・・かつてT氏に「お前は妹を愛してるんだなぁ」と言われことを思い出しました。そして僕の場合は19歳で伯父さんになりました。そんなことも思い出しました。

はま:

完全に涙腺がやられました!

おめでとうございます!

そして

ありがとうございます!

もの凄く幸せな気分です。

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2010年02月03日 01:26に投稿されたエントリーのページです。

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